雪国のごっつぉ 行事食

雪国のごっつぉ 行事食

正月の代名詞でもある雑煮は、大根・里芋・人参・牛蒡・コンニャク・豆腐などの野菜に、アジ*(鮭)などの魚が入っています。力わらびと称して、ワラビを加えるところもあります。元旦から三が日、二十日の正月納め、三十一日の晦日正月など、主に正月のご馳走です。

アジ
塩鮭のこと。秋味の字をあてる。

餅は、正月中は雑煮とともに食られました。近年では、小豆のお汁粉で食べることもあります。正月のお飾りには、丸い福手餅*が供えられます。
餅を食べる行事は多く、三月一日の犬の子朔日(犬の形の団子を作る、餅はきなこ餅)、三日のひな祭り、田植始めのきな粉餅、お盆、九月一日の八朔(田の実朔日ともいい、豊作を願う。風祭り*もこのころ)、十五日の十五夜、十月九日のクンチ(重陽、菊の節句、十九日、二十九日に行う所もある)、稲の刈上げ(この日穂のついた稲二株を神前に供えた)、十一月十日のトオカンヤ(亥の子の祝、案山子祭り、大根の年取りともいう)、十二月一日の川塞ぎ朔日、この日は川塞ぎ餅をついて水神様に供えます。正月十六日の仏の正月には串餅(うちわ餅)を食べるところもあります。

福手餅
平たく丸い餅、大小二つ重ねて神仏に供える。

風祭り(かざまつり)
立春から数えて二百十日、台風の季節にあたり、風難除けを祈願する。

赤飯

餅とともに、赤飯もたびたびメーゲツの食にのぼります。米を蒸すのでこわめし(強飯)ともいいます。初午(三月の最初の午の日、稲荷様の縁日でもある)、三月十二日の十二講(弓矢を作って山の神を祭る)、春の彼岸、七月七日のナノカビ(この日、川に薬水が流れてくるといい、日に七度水を浴び、七回飯を食う)、お盆、八月二十七日の諏訪祭り(尾花祭りともいい、ススキと赤飯を供え、ススキの青箸で食べる)、九月一日の八朔、秋の彼岸などで赤飯を食べます。村の祭礼、冠婚葬祭、人の成長のお祝いにも赤飯がつきます。

膳料理

年取り膳

行事食に出されるお膳料理は、最高のご馳走です。中でも一番は大晦日の年取りで、次いで正月です。この膳料理には、山菜のゼンマイ、ワラビの煮もの、鱒、ヤマメ、イワナの焼き魚、ケンチン汁、コクショウ(汁)なども出されます。また、豆腐は必ず使われました。

牡丹餅

二月八日の事始め・十二月八日の事納め(事の神様が里に下りる日と山に帰る日)、春と秋の彼岸、サナブリ(田植仕舞)、蚕上げ、稲の刈上げは牡丹餅です。仏の命日にも供えます。

小豆粥

正月七日の七草(七草粥の代わりとする)、十一日正月(若木迎え・蔵開きの日でもある)、十五日の小正月(成木ぜめで粥を木の根元に撒く。箸ははらみ箸を使う)、十八日粥(観音様縁日でもある)は小豆粥で、餅などが入ります。十二月二十三日の大師講(弘法大師の跡かくしの雪の話を伝えるところもある)では、イリゴ(くず米)粉の団子が入り、焙った大根のなますも作ります。

小豆飯

小豆を入れた米を炊くので、小豆マンマともいいます。正月十一日の十一日正月、二十日の正月納め、六月の蚕上げ、七月七日のナノカビ、十一月二十日のエビス講(豊作と商売繁盛)、十一月一日の神送り*、十二月一日の神迎え*、その他に仏の命日、祝事など赤飯の代用の時もありました。

神送り・神迎え
神無月(旧暦十月)には、神様が出掛けて村にいなくなる。大里(旧塩沢町)では、国中の神様が集まるので神有月という。

とろろ

正月三日から五日の間に食べ、風邪をひかないといいます。十二月二十三日の大師講に食べるところもあります。

そば・うどん

正月元旦、六日(六日年取り)、二十日の正月納め、三月初午、端午の節句、九月一日の八朔、十一月十日のトオカンヤを始め、来客のもてなしにも出されました。八月十六日の仏の立ち日には素麺で、荷縄素麺といいます。

その他

ちまきは端午の節句及び七月一日のキンヌギ朔日、カボチャは冬至と寒九、鯉はエビス講、納豆は正月の膳に上りました。

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