雪国リトリートは、独自のガイド研修でコーチングスキルを学んだリトリートガイドが、プログラムをサポートします。聴き手(リトリートガイド)の存在が、参加者の心理的な安心感とともにリラックスした対話を生み、参加者が自分の言葉で話すことを通して、本来の自分を取り戻すことができるようになります。
リトリートプログラムでは、参加者と地域の協働関係を大切にしています。協働によって、参加者と受入側の垣根がなくなり、安心の場づくりにつながります。ただ、おもてなしをするのではなく、地域の活動にも参加して地域の一員となる場があるのも雪国リトリートの特徴です。
私たちは、雪国のありのままの自然や普段の暮らしこそ、参加者にとっての異日常であり、魅力になると考えています。雪国リトリートは、これまで観光では光のあたってこなかった、ガイドブックにはあまりのっていない、地域に住んでいる人だからこそ知っている小さくて美しい場所で行われます。
リトリートにおいて、全体性とのつながりはキーワードのひとつです。自然や雪と共存してきた暮らし、そこで育まれた知恵や文化に触れることは、都市生活では感じられない全体性との出会いであるともいえます。
雪国観光圏は、冬になると3メートルもの積雪があり、そこに15万人が暮らしています。雪が多いにも関わらず、これほど多くの人が住んでいるのは世界でも珍しいといわれています。ここには世界的にも希少な「雪と共存してきた暮らし」があります。来訪者は、圧倒的な雪のなかで暮らす人々との出会いを通じて、自らも自然と共存するひとつの生命だと気づかされることでしょう。その気づきは、ありのままの自分を受け入れるきっかけになってくれるはずです。
雪国観光圏には、なぜこれほど大量の雪が降るのでしょうか。それは、大陸からの乾いた空気が日本海の暖流にぶつかることで湿気を含み、その空気が高い山々で上昇し、冷やされ、雪になるためです。しかも8,000年も前から現在と同じように大雪が降っていたといわれています。縄文時代から続く雪のなかの暮らしが、独自の文化を育んできたのです。
雪国の暮らしは、冬になると一変します。現代でも大量の積雪を前に人間にできることは限られます。人々が協力して除雪する、家の窓や庭木が雪に押しつぶされないように雪囲いをする等。しかし不便なことだけでもありません。春は、雪のおかげでアクの少ない山菜が芽吹き、雪どけ水が野菜や米を育て夏秋に実りをもたらします。現代人が忘れてしまいがちな圧倒的な自然の力と、それを受け入れてきた暮らしがここにはあります。
雪国リトリートは、ひとを再生するだけでなく地域も再生する。そんなリトリートプログラムを目指しています。参加者との関わりを通じて、地域住民が雪国の自然や文化の価値に気づき、それに誇りをもてるようになること。さらには、雪国文化の継承や自然環境の保全など地域貢献にもつながるようなプログラムにしていきたいと考えています。