雪国の石仏

おもしろい庚申信仰


青面金剛

ショケラ

道教では「人の腹には三匹の虫が棲んでいる」といい、それを「三尸虫(さんしちゅう)」と呼びます。この三尸虫は「隠している過去を知り、六十日毎に廻ってくる庚申の夜に、人が睡眠すると身体から抜け出して天に昇り、その過去の罪悪を天帝に告げる」ことで生命が縮まると信じられていました。
よって、庚申の夜には三尸虫が天に昇らないために夜通し、眠らずに飲み食い、昔話などを語っていました。さらに六十年に一度来る庚申の年に「供養塔」を建立しました。この供養塔の下には、村の現状を伝える品々や酒が埋納されました。今でいうタイムカプセルです。
庚申塔は、仏教系では「青面金剛」で、神道系は「猿田彦大神」の像を刻みましたが、新しくなると文字塔に変化しました。

青面金剛像が刻まれた塔を観察しましょう。
青面金剛は病魔や災難を除くインドの神です。六本の手を持ち、頭部に蛇を巻き付けています。古い形態は中央二手は合掌し、直立した静的な姿ですが、次第に足を踏ん張り邪鬼を踏みつけ、身をよじり、左手でショケラと呼ぶ上半身裸の女人の髪をつかみ、右手には剣を握る動的な姿に変わります。他に、月や二鶏、三猿が彫りこまれます。

庚申の夜は「申の日」から始まり、「酉の日」に及ぶので酉と猿が庚申に結び付いたと言われています。酉は鶏で時を告げる神聖な鳥です。
三猿は「見ざる、聞かざる、言わざる」のたとえであり、三猿を三尸虫になぞえ目、耳、口をふさいで悪事を天帝に告げないものです。

庚申塔には、石祠の形もあります。石祠の全面には二鶏と二猿が中央の窓部分を挟んで左右に描かれています。窓の形はハートを逆さにしたものと四角のものがあり、この二猿は、雄と雌で桃の実を挟んでいます。桃の実は邪気を払い、桃の葉のしぼり汁は三尸虫を除くといわれています。

このように青面金剛像の形態や、鶏や猿の形態が時代によって変化します。野仏と共に山野を歩き散策して見ましょう。江戸時代の人々の声が聞こえますよ。

青面金剛像下部の三猿

庚申石祠