上杉謙信 越山の地

魚沼地域の山岳信仰・修験道


冬の八海山遠景

雪国観光圏を構成する地域には、多くの山岳地帯が存在し、古代のころから霊山として多くの人々から崇められてきた歴史があります。
山岳信仰とは、簡単に言うと、山を神聖視して崇拝の対象とする信仰のことを意味します。その中で、「山伏」に象徴される「修験道」(注1)が浸透していきました。特に、四方を山に囲まれた南魚沼は、信仰の対象として、また実修の場として、「霊場」たる条件を持った山岳を有する地域であることが知られています。
南魚沼市に所在する八海山(はっかいさん)は、駒ヶ岳、中岳とともに、「越後三山」と称されています。これらの山々は、里から眺められる特徴的な山岳であるため、人々から「霊山」として崇められるようになっていきました。
そもそも八海山に対する原始的な信仰の始まりは、農作を守ってくれる水分神(みくまりのかみ)や作神が山に鎮まりましている、というものだったと考えられています。
麓に住む人々は、あえて山には入山せず、山麓の里地に鳥居や小さい祠を作って遥拝し、祭祀してきたという歴史があり、その信仰は現代まで受け継がれてきました。
また、頂上に広大な湿原を持つ苗場山は、古くから「天狗の苗代」、「神の苗場」として神聖視されて山であることが知られています。
南魚沼における山岳信仰は、在地の山岳崇拝に外来の文化の伝達者である遊行宗教者たちの活動が加わり、ますますの発展を遂げていくのですが、特に吉野・熊野の修験山伏たちや白山・石動山など北陸霊山の聖たちの影響もあり、これに関東霊山の信仰も加わって活況を呈していくことになります。

(注1)修験道とは、山へこもって厳しい修行を行うことにより、悟りを得ることを目的とする山岳信仰が仏教に取り入れられて成立した日本独特の宗教を意味します。

※参考文献 宮家準編『修験者と地域社会-新潟県南魚沼の修験道-』(名著出版刊、1981年)


苗場山遠景

主な山岳信仰の山

おわりに


この特集は、雪国観光圏推進協議会・雪国文化WGの平成29年度学習会を通じて調査・報告したことを、座長の佐藤雅一を中心に原眞・中嶋紀子・田村恭平・安立聡・小沼香奈・笠井洋祐・佐藤信之・高木公輔・田村司が協議し、分担執筆した。
また、一般社団法人雪国観光圏の井口智裕・細矢智子から助言をいただいた。
以下の方々から、ご指導とご協力を得た。感謝を申し上げます(敬称略)。
月岡恵・本間敏則